パルメニデスは紀元前5世紀の哲学者で、西洋哲学における存在論（オントロジー）の創始者とされています。彼はイタリア南部のエレア（現在のヴェリア）に生まれました。彼の生涯に関する詳細な記録は限られていますが、一般的には紀元前515年頃に生まれたと考えられています 。
彼の主要な業績は、現存する唯一の作品である「自然について」という詩に見られます。この作品は断片的にしか残っていませんが、彼の思想の核心を伝えています。パルメニデスは、現実を「アレテイア（真実）の道」と「ドクサ（意見）の道」の二つに区分しました。アレテイアの道では、実在は一つで変わることがなく、時間や空間を超えた存在として描かれます。一方、ドクサの道では、感覚的な経験に基づく多様で変化する世界が説明されます 。
パルメニデスの哲学は、彼の時代の一般的な考え方に挑戦するものでした。彼は「無から何かが生まれることはない」と主張し、存在が常に存在し、一定で不変であるという考えを展開しました。これは、見かけ上の変化や多様性を持つ感覚的世界が幻想であるという結論につながります 。
彼の思想は、後の哲学、特にプラトンやアリストテレスをはじめとする多くの思想家に影響を与えました。エレア学派の創設者として、ゼノンやメリッソスなどの後継者も生み出しました。ゼノンのパラドックスは、パルメニデスの見解を擁護するために考案されました。
パルメニデスの詩には、神秘的な旅が描かれています。それは啓示を与える女神に導かれた戦車の旅であり、無知から知識へ、闇から光への移行を象徴しています。女神は、変わらない実在と、不確かな人間の意見の世界についての知識を伝えます 。
